W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代

冨田 涼

ユージン・スミスを知ったのは映画「MINAMATA ―ミナマタ―」でした。
主演のジョニー・デップが、特殊メイクなどはしていないにもかかわらずユージン・スミスにしか見えない、というすばらしい演技を披露しており、作品そのものもインディペンデントの良作でした。

映画では彼が水俣を取材する姿が描かれていましたが、本作はその前の時期、ニューヨークのロフトに住んでいた頃の作品をメインに展示してありました。

題材はアメリカの都市やシュヴァイツァー博士など、多岐にわたります。
ロバート・キャパのように作品単体でインパクトを与える作風というよりは、「作品群」として鑑賞したときにメッセージが浮かび上がる構成になっているのが特徴だと感じました。

ある都市と、そこに住む人々を取材することで、都市と人の関係性を描く。これは水俣の写真集でも同様です。

被写体がシュヴァイツァー博士のような著名人の場合でも、「英雄の肖像写真」のようなものは撮らない。
彼が現地の人々とともに働く姿を描きます。あくまでも対象は環境とコミュニティです。

それぞれの作品群としてのメッセージはもちろんありますが、彼の生涯に渡る活動を俯瞰すると、その本質にヒューマニズムがあるのがわかります。

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